【儲ける知性を休ませ、親切を――糸井重里に資本主義を聞く】>ダメになったら捨てられるんじゃなくて。ダメならダメで責任があるけれど、うまくいったら自分たちがちゃんと利益を得て>

糸井重里氏 金より大事なこと

8/14(月) 15:16 掲載 .

儲ける知性を休ませ、親切を――糸井重里に資本主義を聞く

8/14(月) 12:00 配信

「利益をたくさん出せればうれしいが、それが第一の目標になるとずれていくと思う。最短かつ最効率で利益を得る会社が、人に喜ばれるとは思えない」。糸井重里氏が、代表取締役として率いる会社「ほぼ日」を株式上場させる際、発した言葉だ。より利益を上げられる会社の株式を皆が買う――この仕組みは資本主義を発展させてきた。しかし糸井氏は、お金を儲けることよりも大事なことがあるというのだ。いったい、資本主義をどう捉えているのか。どんな会社であろうとしているのか。糸井氏に言葉の真意を聞いた。(週刊エコノミスト編集部/Yahoo!ニュース 特集編集部)

「自分たちが使いたいモノを作る」

糸井氏は1998年にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げ、個人事務所から株式会社化した「ほぼ日」(東京都港区、社員74人、2016年8月期の売上高37億円)が3月、東京証券取引所ジャスダック市場に上場した。同社は「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営や、「ほぼ日手帳」はじめ商品販売などを行う。インタビュアーは『週刊エコノミスト』編集長、金山隆一。

―― なぜ今まで会社を続けてこられたのだと思いますか。

運がよかったからと、まじめにやってきたから。この2つだと思いますね。ウェブサイトの読み物を作るにしても、販売するモノを作るにしても、案外、労働集約型の仕事なんですよ。手をかけてコツコツやったことが皆さんに喜ばれているという形です。

糸井重里氏(撮影:武市公孝)

―― 何で稼いできたんですか。

ほぼ日手帳の売り上げが7割です。「手帳で食っている会社でしょ」と批判がましく言われることもあるのですが、そう見てくださってかまわないと思います。

―― 60万部以上売れるほど支持されているというのは、よっぽど良い手帳なんですね。

自分たちが使いたいモノを作るというのが僕らの姿勢です。生意気な言い方をすれば、「良いに決まっている」というモノを出すようにしているので、それがよかったんだと思います。

―― 残りの3割は。

ほかにもタオルやハラマキといった「モノの形をしたコンテンツ」がずいぶんあります。生活の中で自分たちが「こういうモノがあればいいのにな」と思うモノを考えて、「なぜ、ないんだろう」とさんざん話をして、僕らが欲しいモノを作っています。

2001年に発売した「ほぼ日手帳」は1日1ページ。予定を管理するだけでなく、思いついたことを書きとめたりと自由な使い方ができる点が人気を呼んだ。そのほか、ハラマキをはじめオリジナルの生活用品を企画。いずれも「ほぼ日刊イトイ新聞」のなかで商品の成り立ちや特徴を読み物として紹介すると同時に、販売している。

手帳はペンを差せば開かないストッパーや24時間の罫線など工夫が凝らされている(撮影:週刊エコノミスト編集部)

―― 商品カタログと読み物を組み合わせた雑誌「通販生活」とはどこが違うんですか。

通販生活の創業者、斎藤駿さんには僕たちを見るに見かねて、いろいろとご指導いただきました。「通販生活」は雑誌を作って、通販メディアにしようと始めましたよね。僕はメディアを作りたいと考えたわけじゃなくて、最初から、ただ「場」を作りたかった。

―― メディアではなく「場」とは、どういう意味ですか。

ほぼ日刊イトイ新聞」のウェブサイトを作った頃から、いずれ「ほぼ街」を作ろうと思っていました。ロールプレイングゲームで主人公が動き回る「街」みたいにしたかったんですよ。建物に入ってみたらお茶を飲める場所があるというように。「ほぼ日刊イトイ新聞」は読み物中心で始めたので、今はまだ文字のコンテンツが並ぶデザインですが、街のような存在だと思っています。

ウェブサイトは「ほぼ日刊」とされながら毎日更新される(撮影:週刊エコノミスト編集部)

―― 「ほぼ街」を目指すなかで、手帳が売り上げの7割という比率は変えていきますか。

他が伸びていって、相対的に手帳の割合が下がっていってほしいとは思っています。他とは、犬、猫と人が親しくなるためのアプリ「ドコノコ」やイベントですね。

3月には東京・六本木ヒルズで「生活のたのしみ展」というイベントを3日間、やりました。自分たちと、親しい人たちでいいモノを作っているなと思う人のコンテンツを1つずつお店にして、20ほどのお店を出しました。イベントはみんなに喜ばれています。儲からないですけど。

「ほぼ日」の活動範囲はいまやウェブにとどまらない。2014年にショップとイベントスペースを兼ねた「TOBICHI」を東京・南青山にオープンさせた。2016年にリリースしたアプリ「ドコノコ」は犬と猫のための写真投稿SNSだ。

小屋のような外観の「TOBICHI」(撮影:週刊エコノミスト編集部)

―― 「場を作る」といっても、ウェブ上や店舗の“場所貸し”をして稼いでいるわけではないんですよね。

よく「ウェブサイトに広告を載せないんですか」と聞かれますよ。広告価値はあると思います。広告が面白いというのもよく分かっているんです。自分もコピーライターとしてやってきたわけですから。

広告って書いていないメッセージがものすごく多いから、読者としては面白いことは確かなんです。新聞に15段1ページの広告を打っていれば、何かこの会社はやりたいことがあるんだなって思う。広告だけのウェブサイトを作っても面白いと思います。

僕が今やりたいことと広告がフィットしないので載せていませんが、すぐに利益が欲しい株主には裏切りに見えるかもしれない。そこはこれから話し合っていかなければならないと思っています。

「僕がいなくなっても株価が下がらない会社」

3月16日、東京証券取引所ジャスダック市場に上場(写真:東洋経済/アフロ)

―― 上場した理由は。

ほぼ日刊イトイ新聞」を始めた時から、しっかりした体制を作るということは頭のなかにありました。実際にチームが育っていって、サポーターも育っていってくれた。僕がいなくなった時にそれがなくなってしまったら、つまらないですよね。上場することでオーソライズ(公認)されたと言えるかもしれません。

―― 糸井さんは、「不思議、大好き。」「おいしい生活。」「くうねるあそぶ。」など数々の名キャッチコピーを生み出すコピーライターとして活躍していました。それなのに、どうして「ほぼ日刊イトイ新聞」を始めたんですか。

自分たちがイニシアチブをもって仕事をしていくことが本当に大事だと思ったからです。単なる下請けになって、ダメになったら捨てられるんじゃなくて。ダメならダメで責任があるけれど、うまくいったら自分たちがちゃんと利益を得て、それを応援してくれるお客さんが一緒に喜べる。そういうことがしたくて、フリーのコピーライターを辞めたんです。

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https://news.yahoo.co.jp/feature/713

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ほぼ日の行動指針は「やさしく、つよく、おもしろく。」

出典:ほぼ日

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ほぼ日刊イトイ新聞」は1998年6月6日スタート

出典:ほぼ日刊イトイ新聞

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上場を支えた女性のキャリアと子育て

出典:NIKKEI STYLE 8/11(金)

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